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[2022-04]【総合的な探究の時間】町巡りと町長講話を行いました!

5月16日の総合的な探究の時間に、普通科1年生が種市の町巡りと町長講話を行いました。
今回はその様子をご紹介します!

町巡りの目的

 種市高校に入学したばかりの1年生。前回の記事でご紹介したように、2年生からは地域を舞台に探究学習を行います。今回の町巡りでは、種市の町並みを見て、町で活動する人々のお話を聞くことで種市に興味を持つきっかけをつくることを目的としました。
 今回は、4ヶ所の町内事業者さまからお話をお聞きするとともに、町長の想いを知ることで、生徒たちが新たな視点で種市について考えることを目指しました。

【NPO法人エンパワメント輝き】福祉とまちづくり

 最初に向かったのは、NPO法人エンパワメント輝き。ひきこもり者等に対する戸別訪問や就労支援、認知症者やその家族の支援、高齢者に対する介護およびサロン活動を行なっています。
今回は、代表の大光テイ子さんに、エンパワメント輝きの活動や洋野町の福祉の現状についてお話を伺いました。「エンパワメント」という名前の通り、関わる人たちが持っている潜在的な力や能力を発揮できるような地域を目指しています。

大光さん:「1人でどうにかしようとするのではなく、地域全体で助け合っていくことが大切です」

■□生徒の感想□■
「さまざまな人を支援したり、応援したりされたりしていることがすごいことだと感じた」
「一人ひとりと向き合おうとする姿勢が大切だと思った」

【一般社団法人fumoto】地域の中と外をつなぐ

 続いて向かったのは、一般社団法人fumoto。2019年に洋野町地域おこし協力隊OBの大原圭太郎さんが設立しました。洋野町の地域おこし協力隊の募集・採用・活動支援、関係人口創出事業、デザインやPRを通して、洋野町のまちづくりに取り組んでいます。
fumotoでインターンシップをしたのがきっかけで、地域活性やまちづくりに興味を持った種市高校の卒業生もいます。

大原さん:「地域でチャレンジする人の土台になりたいと思っているので、高校生のチャレンジもサポートしていきたいです」

まちなかにある案内所

■□生徒の感想□■
「町内に住んでいる人から見た町の魅力だけでなく、町外の人目線で地域をよりよくすることができるという考え方に関心を持った」
「人の挑戦を応援するという考え方が自分にはなかった」

【株式会社北三陸ファクトリー】洋野町を世界に

 次に、洋野町役場裏にある「ひろのしおかぜパーク」に向かいました。この日はちょうど干潮で「ウニ増殖溝」(※岩盤に掘られた、昆布が繁殖する溝のこと)を見ることができました。岩手県はウニの漁獲量が北海道に次いで全国第2位であり、その中でも洋野町は県内の約3割を占めている、日本有数のウニの産地です。
 そんな洋野町のウニの加工を行なっている株式会社北三陸ファクトリーの眞下美紀子さんに、洋野町のウニが美味しい理由や北三陸の食を世界に発信したいという想いをお聞きしました。ウニの加工をしている工場も見学させていただきました。

眞下さん:「海産物の加工だけでなく、地域連携のイベントや新商品の開発も行っています。いろいろな方法で洋野町のことを知ってもらう機会を増やしていきたいです」

ウニ増殖溝について説明する眞下さん

■□生徒の感想□■
「ウニはもちろん、その他の食材も美味しく食べてもらえるように工夫されていた」
「中学生の時に研究していた“環境”と関わる企業さんなので、とても興味があるお話だった」

【にしやま】自分の好きなものを地域にあるもので

 最後は、種市産直ふれあい広場にあるにしやまの代表・工藤統永さんにお話を伺いました。にしやまでは、仕出しや移動販売、産直での仕入れ野菜やお惣菜の販売を行っています。
 工藤さんがもともと好きだったから揚げと、洋野町で生産されている純和鶏(鶏肉)を掛けあわせてできた「ひろのから揚げ」のお話は、この総合的な探究の時間でもテーマになる「自分の興味関心×地域の課題」のとてもいい例でした。
 また、地域包括支援センターと連携して行なっている移動販売の現状と課題については、最初にお話を伺ったエンパワメント輝きの大光さんのお話とも関連しており、地域全体で課題を解決する、ということを感じられました。

工藤さん:「今も試行錯誤しながら働いています。まだまだ自分にできることがあるので、もっと上を目指していきたいです」

■□生徒の感想□■
「自分の好きなことと地域を結びつけて活動しているのがすごいと感じた」
「移動販売についてもっと知りたいと思った」

【町長講話】種市という地域に誇りを持って

 町巡りのあとは、本校視聴覚室にて岡本正善町長の講話を行いました。今回は、岡本町長の洋野町への想いをお話していただきました。洋野町は平成18年(2006年)に旧種市町と旧大野村が合併して誕生しました。種市は100年以上の歴史のある南部もぐり(潜水)とウニをはじめとした海産物、大野大野木工や酪農、地区ごとの産業が特徴です。
 また、4月には県内で初めてウクライナからの避難民の受け入れも行いました。

 岡本町長は、洋野町(旧種市町)宿戸(しゅくのへ)地区出身です。子どもの頃は、夏は野球をしたり海で泳ぐ、冬は雪遊びをしたのが思い出とおっしゃっていました。幼少期から自然と触れ合う機会が多かったことから、町長になる以前は漁業や林業などの一次産業に従事していました。洋野町でもさかんに行われている漁業や林業は、大変な仕事という印象もありますが、とてもやりがいのある仕事であり、最近では興味を持つ若者も増えています。

 さらに、町巡りでも見学したウニ増殖溝を考案したのは、岡本町長のご祖父様です。ウニが種市の特産品であることは知っていても、増殖溝を作られた経緯を知る生徒は少なかったので、とてもいい学びになりました。

世界で洋野町にしかないウニ増殖溝

 2011年に起きた東日本大震災では、人的被害は無かったものの、水産業に大きな打撃がありました。海岸近くにあるウニ栽培漁業センターにも被害がありましたが、種市高校の生徒が復旧のボランティアに携わったことで、地元漁業者も励まされたと岡本町長は振り返りました。また、洋野町の宿戸と有家で行われている洋野エモーション(八戸駅から久慈駅を運行するレストラン列車「TOHOKU EMOTION」に手を振って歓迎する活動)を始めたのも種市高校の生徒と教員でした。現在では地元の方々をはじめ、多くの人が参加する活動になっていますが、最初は4,5人のスタートだったそうです。

洋野エモーションに参加する種市高校の生徒(2021年12月)

 最後に岡本町長は、高校3年間で種市の魅力を知って、町外に出たとしてもその場所で種市の魅力を伝えてほしいと生徒たちに伝えました。

岡本町長:「町長になって、生まれ育った洋野町の魅力を発信したいと思っていますが、1人ではどうにもできないこともあります。また、ずっと町にいると慣れてしまって気がつかないこともあるかもしれません。最近では、1度洋野町を出たけれど戻ってきて働いている人や、ご縁があって町外から洋野町に来た人もいます。皆さんも、できれば洋野町にいてほしいですが、どこにいても頑張ってもらいたいと思っています」

今後は、高校生の力も借りて町を盛り上げていきたいと語りました。

 質疑応答では、生徒からの「洋野町のよいところ、他の地域に負けないところはどこだと考えていますか?」という質問に対し、
「『何もないところ』です。何もないからこそ、これからみんなの力で作り上げていくことができると思っています」
という岡本町長の言葉が印象に残った生徒も多くいました。

岡本町長に質問をする生徒

 半日でしたが、とても充実した有意義な時間となりました。これから洋野町について学び、考えていくうえで、今回学んだことや知ったことを参考にしていけたらと思っております!!


(2022/5/23 執筆:千葉桃子【魅力化協働サポーター】)

岩手県立種市高等学校
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