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[2022-02]【総合的な探究の時間】地域へ踏み出す、可能性を広げる

 「総合的な探究の時間」は、生徒自身が課題発見からその解決までに取り組むことで、自分自身の生き方や地域のありかたについて考える授業です。
 種市高校普通科では2019年度から、地域と連携した探究の授業を行っており、3年目である2021年度にはたくさんの新たな取り組みが生まれました。今回は、2021年度の種市高校普通科2年生の総合的な探究の時間の取り組みをご紹介します。

地域に根ざした探究学習

 種市高校では、地域探究や課題研究を通して自己理解を深めるとともに、社会に目を向け、地域との結びつきを探究することにより、自分自身のありかたや生きかたに対して主体的に活動することを目標に「地域探究学習」に取り組んでいます。
 進学希望の生徒は、興味関心のある分野と地元の課題を結びつけてテーマを設定しました。
テーマは以下の5つです。
・持続可能な海洋資源(プラスチック問題)
・多文化共生、言語支援
・南部菱刺し
・減塩
・社会福祉(岩手県の自殺問題)
 役場や町内企業の方などにお話を聞き、それぞれの分野について情報を集め、分析をしながら学びを深めていきました。

校内発表会の様子

 就職希望の生徒は、洋野町の防災について「防災グッズ」「防災マップ」「防災ゲーム」の3つのチームにわかれて探究学習を行いました。種市高校は学校のすぐ近くに海があります。東日本大震災では大きな被害はありませんでしたが、この町で生活するなかで防災は切っても切り離せないテーマです。6月には町の防災アドバイザーをお招きし、東日本大震災以降の洋野町の防災についてお話を伺いました。

町の防災アドバイザーによる講演

対話を通して深める

 総合探究の授業では、地域で活動する大人や大学生との対話を通してそれぞれのテーマを設定した動機や根本にある想いを深めました。毎回ちがう大人や大学生と対話をし、さまざまな意見やアドバイスをもらうことで、よりよい探究学習をすることができました。

地域の大人との対話

 また、9月には「旅をしながら学び合い、国内外進学や起業などを目指し、世界級の生き方を学ぶ第三のグローバルスクール」であるインフィニティ国際学院(https://infinity-gakuin.org/ )とオンラインで交流授業を行いました。
 都市部に住み、世界を視野に入れて学ぶインフィニティ国際学院の生徒と、地域に根ざした学びを行っている種市高校の生徒は、同い年であっても考え方やものの見方も異なります。
地域について、進路について、そして自分の探究テーマについて話すなかで、今まで気がつかなかった洋野町のよさに気づく生徒もいました。
 インフィニティ国際学院の生徒からも「地元があるのは良い。『自然と街が好き』と誇りに思うのはかっこいい!」「地元愛の中には『人』が理由になっているのかもしれない!」「『ゴミを減らしたい』『工芸品を広めたい』など地元のことを良く考えていた!」と感想をいただきました。

交流事業の事前説明
交流事業の様子

伝えることでつないでいく


 2021年度のゴールは、2月に行われた中学校での発表でした。対話やフィールドワークを通して得た学びをもとに、10月頃から準備に取り組みました。1年生や海洋開発科の生徒にプレ発表をしたり、町内の企業の方などにお話を聞いて内容をさらに磨いていきました。
 そしていよいよ中学校での発表当日!1年間探究したテーマについてポスターにまとめたり、ゲームやグッズ作りなどの体験を用意しました。

防災ゲーム班の発表
プラスチック環境問題の発表

 最初は緊張した様子もありましたが、回数を重ねるごとに楽しそうに発表することができました。どのグループも、中学生とコミュニケーションを取りながら発表しており、中学生も興味深く発表を聞いていました。
 この発表によって、種市高校普通科でどのような学びができるのかが地元の中学生に伝わったのではないでしょうか。

 今年度も、種市高校普通科では地域探究学習を行います。この学びを通してみえる生徒の成長や地域の変化が楽しみです。

(2022/4/27 執筆:千葉桃子【魅力化協働サポーター】)

岩手県立種市高等学校
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