[2024-119]総合防災避難訓練を実施した
11月5日は、世界津波防災の日。種市高校ではこの日、朝から放課後までの一日中、総合防災避難訓練を実施しました。
1 「世界津波防災の日」に合わせた防災に係る講話
岩手県立大学 総合政策学部 地域社会・環境コース 講師 兼 防災復興センター副センター長の杉安和也先生の講話を拝聴しました。
特色ある避難訓練の実例や防災マップ、津波の高さ(深さ)など、様々な視点で講義をしていただきました。
2 火災による避難訓練
「体育館で全校集会中に、体育館の分電盤から出火した! しかも、こんな時に校長も副校長も出張で不在!」という想定で、避難訓練を実施しました。
昨年度までは、一旦、校舎前に集合して点呼を取ってからグラウンドに避難していましたが、次のような課題がありました。
(1)集合場所が消火活動の妨げになる
(2)集合場所からグラウンドまでの経路が狭く、地面に障害物が多い
そこで、まずは津波による避難と同じ経路で校地外に避難して点呼を取り、次いで公道を迂回してグラウンドに集合する、という避難方法に改善しました。実際の避難では、近隣の住民の皆さんにも避難を呼びかけることにしています。(詳しくは、動画を御覧ください。)
3 ABC消火器による油火災の消火訓練
久慈広域連合消防本部洋野消防署の署員さんに指導を受けながら、ABC消火器による消火訓練を行いました。この日は風向きが変わりやすく、風上から炎に近づいたつもりが、いざ噴射してみると風下になっていたりと、消火活動の難しさを体験しました。(詳しくは、動画を御覧ください。)
4 仮想津波からの水平避難体験
沖合における津波の速度は約800km/h。海岸に近くなるほど速度が落ちるといわれていますが、それでも36km/h(=100mを10秒で駆け抜ける速さ)あり、世界のトップレベルの短距離ランナーでもこの速さで走るのは難しいでしょう。仮にその速さで走れたとしても、その全力疾走をどこまで続けられるか?
仮想津波からの水平避難体験は、36km/hで迫る津波の速さを実際に経験しました。
全力疾走しましたが、数秒で仮想津波に追い越されてしまい、より高いところを目指していち早く避難することの大切さを実感しました。(詳しくは、動画を御覧ください。)
5 非常時に役立つ知識・技能の習得
午後からは、校長先生がこれまの経験で得た非常時に役立つちょっとした知識・技能に関する講義と演習を行いました。
今回はのテーマは、「熱源」と「火種」です。
屋外における使用を考慮したアウトドア用のコンロは、火力が強力で風にも強い反面、非常時には燃料のガス缶(通称OD缶)の入手が容易ではないこと、食卓用のカセットコンロはアウトドア用に比べて火力は弱く風にも弱い反面、燃料のガス缶(通称CB缶)の入手が容易であることが示され、いざという時には有効であるとのことでした。
また、喫煙者が少なくなり、電子タバコが普及した昨今では、ライターを持っている人が以前に比べて少なく、非常時における火種の確保が難しいことが示され、いざという時の火種として価格・使い勝手・保存性の観点からマッチの優位性に改めて着目すべきだとのことでした。
6 ロープワークの習得と仮設タープの設営
毎月11日に発行してる「種高の復興教育 -生きる・関わる・備える・語り継ぐ-」で紹介したロープワークを駆使し、身近な素材を活用して仮設のタープを設営しました。
はじめに、体育館でロープワークを習得します。
一人ひとりがロープを手にして、一重結び(シングルベンド)、巻き結び(クローブヒッチ)、もやい結び(ボウラインノット)、自在結び(トートラインヒッチ)を習得しました。海洋開発科の生徒は、普段から実習でロープを扱っているため慣れており、普通科の生徒を支援しました。
続いてグラウンドに移動し、身近な素材であるブルーシートと物干し竿を活用して仮設のタープを設営しました。
7 レトルトカレーを加熱せずに食べてみる
レトルトのカレーを、非常食としてローリングストックしている家庭も多いことと思います。今回は、「熱源が無い」という設定で温めず、開封したカレーをそのまま(皿もスプーンも使わずに!)食べてみました。
食べる前は不安でしたが、案外おいしくてビックリしました。(写真が無いのが残念...)
これらの知識は「知っている」だけではなく、いざという時に「役立てる」ことが重要です。生徒の皆さんの記憶に残るとともに、生徒の皆さんから語り継がれることを期待します。
(もちろん、「いざという時」が来ないのが一番です。)
8 動画「総合防災避難訓練を実施した」
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