[2023-110]「種市丸」が陸(おか)に揚がった
2024(令和6)年1月9日、点検・補修のため潜水作業実習船「種市丸」が八戸港のドックに回航しました。
船台式ドックに上架された種市丸の様子を御覧ください。
船台に載せて引き揚げられた「種市丸」
乾ドック、浮きドック、船台式ドックなど、様々なタイプのドックがありますが、「種市丸」がお世話になるドックは船台式ドックと呼ばれるタイプ。海の中まで続くレールの上に船台(台車)を這わせて海に沈め、この船台の上に船体を載せたあと、レールに沿って徐々に引き揚げることによって上架します。陸に揚がった「種市丸」は、めったに見られません!
海に浮かんでいる時には目立ちませんでしたが、喫水線よりも下の船体は錆びていたり貝類が付着していたいたりと、予想以上に傷んでいます。
このプロペラは、船尾側から見て右(時計回り)にしか回転しませんが、プロペラの角度を変えることによって前進・後進を切り替えることができます。(このようなプロペラを「可変ピッチプロペラ」といいます。)
点検・補修を終えた「種市丸」
錆びや付着した貝類を落とし、綺麗に塗装が施された船体。よく見ると、ビルジキール(舷側の細長いヒレのようなもの)や舵に何やら四角い金属が取り付けられています。
この四角い金属は、船体を構成する鉄(Fe)よりもイオン化傾向が大きい亜鉛(Zn)などで作られています。種類の異なる金属を貼り合わせて海水などに入れると、「イオン化傾向が大きい金属が陽イオン(プラスイオン)となって水中にドンドン溶け出す一方、イオン化傾向が小さい金属はかえって溶け出しにくくなる」という化学反応が起こります。亜鉛(Zn)自身が溶けてしまうことによって鉄(Fe)でできた船体を守ることから、この消耗部品は「犠牲電極」と呼ばれています。
野球やソフトボールの、自分(Zn)がアウトになる代わりにランナー(Fe)を次の塁に進める「犠牲バント」と同じような働きと考えると、わかりやすいかも。
下架して効力試験を待つ「種市丸」
点検・補修を終え、下架して再び海に浮かんだ「種市丸」。これから、エンジンをはじめとする各部の効力試験を行います。
効力試験に合格したら、母港の種市漁港まで回航します。早く帰りたいよぉ~