[2023-107]かれいひの上に 涙落として ほとびにけり
本日の3校時目に、非常時体験を行いました。
初めに教室で「簡易トイレ」の実演を行い、続いて非常用のクッキーを試食したりアルファ米やスナック菓子にお湯を注いで主食を作ったりました。
1 簡易トイレ体験(実験)
災害時を想定して「食べる」備えはするものの、「排泄」への備えは忘れがち。
今回は、凝固剤(吸水性ポリマー)と水を混ぜ、変化を観察しました。
2 非常食体験
(1)クッキーを食べてみた
非常時には、怪我をした被災者が次々に運び込まれて医療機関を受診しにくくなることを想定していなければなりません。
小麦・ナッツ・エビ・卵などが使われているものを知らずに食べ、アナフィラキシーショックを起こしたら一大事。非常食は、必ずしも自分だけが食べるとは限りません。食物アレルギーに配慮した非常食を用意しておけば、誰かに分けてあげる時も安心です。
(2)スナック菓子を主食にしてみた
手元にスナック菓子しかない場合でも、お湯さえあれば主食の代わりにすることができます。
カップ入りのフライドポテトに注ぐお湯の量を少なめにすればマッシュポテトとして、多めにすればポタージュスープとして代用できます。今回はお湯を少なめにして、マッシュポテトにしてみました。(この方法は、クッキーやクラッカーにも応用できます。)
(3)アルファ米を食べてみた
お米を炊くとデンプンがアルファ化して「ご飯」が出来上がりますが、このまま冷やすとベータ化してしまい、炊きたてのような食感や味にするには再び加熱する必要があります。この「ご飯」を急速乾燥させて作るアルファ米は、水やお湯を加えると再び炊きたてのような食感と味が甦ります。
災害時には非常に便利なアルファ米。「伊勢物語」に、その原点である「乾飯(かれいい)」が記述されています。旅の一行が八橋という場所を通りかかった際、かきつばたという花が咲いていました。そこで、「か・き・つ・ば・た」を句の上に据えて旅の心情を五・七・五・七・七の歌に詠んだところ、その歌があまりにしみじみとしていたために皆が涙を流し、落ちた涙で「乾飯」がふやけてしまった(それほどたくさん涙が出た)とのこと。「みなひと かれいひの上に 涙落として ほとびにけり」で有名な件です。
アルファ米が手に入らない時や食べきってしまった時に備え、ポリ袋に研いだお米を入れて湯煎にする炊き方も紹介しました。
種市高校は、いわての復興教育「いきる」「かかわる」「そなえる」+「かたりつぐ」に取り組んでいます。